Woven Cityは未来への道しるべとなるのか?

私は以前から「息子が成人したら海外で自由に暮らしてほしい」という願望があります。裏返すと「日本の未来は不安」と感じているためです。
しかしその不安を少し和らげるニュースが2020年初めに報道されました。かなり旬を過ぎた話題ではありますが、旬のピークは来年ですのでむしろ先取りとも言えます。その報道とは、日本企業を代表するトヨタ自動車が、日本を代表する富士山の麓で「未来に向けた実験都市を作る」と発表したんです。しかもその発表をしたのはラスベガスで開催されているCES(最新家電の見本市)というのですから驚きです。
世界が注目する場で啖呵(たんか)を切ったわけですから、自らの退路を断って世界中に覚悟を示したのでしょう。

Wovenとは?

その都市の名前は「Woven City(ウーブンシティ)」これまで聞いたことのない単語です。トヨタのサイトを見るとWovenとは「織る」という意味らしく①速度の速い自動運転車②歩行者と速度の遅いモビリティ③歩行者専用道路、という3種類の道が織物のように交差するイメージ図が紹介されています。なんとも分かりにくいネーミングに「もう少し未来を感じさせる名前はなかったのか?」最初は理解に苦しみました。「夢のような構想なのに、もったいないなぁ」と。

しかし忘れてはなりません。トヨタという企業は、もともとは「自動織機」を作っていた会社だということを! 100年前にスタートした自らの原点でもある「織る」というキーワードを、100年後の未来にまでつなげようとしていらっしゃる! なんという壮大な夢を描いてるんでしょう。「誰かを幸せにしたい」という創業時からの理念に全くのぶれがない。それをまるで少年のように語るトップの姿はスティーブ・ジョブズ氏を想起させ、わくわくせずにはいられませんでした。

今後のWoven Cityから目が離せない

現時点で世界の最先端都市は中国の「深セン」だと言われています。中国のIT大手が本社を構え、シリコンバレーを超える勢いです。少し前までは他国のマネばかりしていた中国が、いつの間にか日本を遥かに凌ぐ技術大国になってしまいました。日本の得意分野である「良い製品を大量生産する技術」「熟練工のみがなせる技」これらはもう優位性が無くなりつつあります。過去の栄光にすがるのではなく未来に向けて変革の時がきているんです。

Woven City構想には日本のトップ企業NTTも参画を表明しました。2つの超巨大企業の連携は我々にどんな未来を見せてくれるのか? 現時点ではあまり詳細情報は出ていませんので妄想するしかないんですが、どれくらいAIやロボットが登場するのか? 交番のおまわりさんがロボットだったら楽しいですね。街の電力はもちろん自然エネルギーで、屋根には太陽光パネル、地下には水素燃料電池発電を備えるようです。電気も地産地消の時代がくる。大規模発電所で作った電気を長距離送電することの非効率さを証明してくれることでしょう。荷物の配達は地下を走るモビリティが運んできてくれるとのこと。ドローン配達は無いのでしょうか? 地震対策も気になるところですが、とにかく日本の技術の粋が凝縮された街になることは間違いありません。本来であれば国が進めるべきプロジェクトなのでしょうが、それを企業が始めるところがなんともドラマチックです。自社の利益だけを追求するのではなく、ALL JAPANの気概で臨んで頂ければ、きっと日本の未来を示す道しるべになってくれると思います。

「技術大国日本、復活の狼煙が今、富士より上がる」
織物で人の体を温めていた企業が、別の織物(Woven)で日本中の人の心を熱くする。
これは深センより面白いかもしれない。

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