脱プラスチックは可能なのか?

エコバッグ

2020年7月より日本でもレジ袋の有料化がスタートしました。これはCO2排出削減、及び海の豊かさを守るための「脱プラスチック」に向けた第一歩であり、もちろんSDGs活動の一環でもあります。
しかし残念なことに新型コロナのタイミングと重なってしまったため、この活動のインパクトが薄れてしまった感があります。「なんとなく環境に優しい活動」くらいに軽く受け止めてしまいがちですね。そこでなぜ今脱プラスチックが必要なのか? 私の理解で超簡単に解説してみます。
過去の記事「SDGsとは?」はこちら

プラスチックはスーパーヒーローだった

ヒーロー

ここ100年ほどの歴史において私たちの生活は劇的に進化し、便利になっていきました。それは数々の技術革新の賜物なんですが、最も大きく貢献したのがプラスチックという素材ではないでしょうか。私たちの身の回りを見てみるとプラスチック製品だらけです。家電、風呂トイレ用品、文房具に調味料、住宅や車、そして飛行機部品に至るまで、ありとあらゆるものがプラスチックでできてます。
その特徴(メリット)としては①軽い②劣化しない(錆、腐食しない)③加工しやすい④原材料(石油)が豊富⑤だから安い、近年ではそこに耐熱性や鉄以上の強度を持つものまで登場、まさにプラスチックは無敵のスーパーヒーローだったんです。

プラスチックの悪影響が顕在化

プラスチックが海を汚していることは何十年も前から知っていました。海岸に流れついた大量のプラごみ、えさと間違えて食べているウミドリやウミガメの映像を何度も見てきました。しかしそれは一部の誰かが海に流してしまったもので、我々のゴミはきちんと処分されているはず。広大な大海原は多少のゴミくらい平気で許容してくれるはず。これまでそう思い込んできたんです。しかしここ数年の調査でそれは全くの間違いであることが明らかにされました。既に1億トンを超えるプラごみが海に流出しており、それらは直径1mm以下の「マイクロプラスチック」と呼ばれる状態まで自然粉砕され、太平洋や大西洋は「プラスチックスープ」と呼ばれる状態にまでなっています。東京湾に生息するイワシや貝からもマイクロプラスチックが検出されており、当然人間の体内にも入ってきています。人間が摂取しても吸収されずに排泄されるため人体への影響は無いと言われていますが、妊婦さんや生まれてくる子供への影響はどうなのか? 誰が無害と言えるのでしょうか?「きちんと処分されているはず」では済まされない時代となったんです。

砂浜のプラごみ

プラスチックの処分方法

2017年までは日本のプラごみは中国が買い取ってくれていました。新たに作り出す技術のなかった中国はこのゴミを資源として再利用(これをケミカルリサイクルと呼ぶ)していたんです。当時の日本の家庭ではペットボトルの中身を洗い、ラベルをはがして分別していましたね。それが2018年からは中国がプラごみの買取を拒否。行き場を無くしたプラごみは他のゴミと一緒に日本国内で焼却処分されるようになりました。だから分別は必要無くなったわけです。参考までに北米ではほとんどのプラスチックを埋め立て処分しています。広大な土地がある「お国柄」ですね。
この2つの処分方法①「埋め立て」②「焼却」が世界の注目を集める問題となっています。
その理由は以下

  1. 「埋め立て」劣化しない=分解されないため自然に返らず何百年も残り続ける⇒土壌汚染
  2. 「焼却」石油が原材料であり燃やすと多くのCO2を発生する⇒地球温暖化

日本はこの焼却処分に「サーマルリサイクル」というもっともらしいネーミングをつけ「焼却した熱で発電してます」と発信していますが、世界基準でこれはリサイクルとは呼べません。

「脱プラスチック」以外の選択肢は無い

間違って海に流れると海洋汚染、きちんと処分されたとしても土壌汚染や温暖化を招いてしまう。
あとの望みは他国に頼らず国内でケミカルリサイクルするしかないんですが、これには大規模な設備やしくみが必要。政府、自治体、企業にお願いするしかありません。(欧州ではこれに力を入れています)
つまり「脱プラスチックが可能かどうか?」ではなく、個人レベルで出来ることは、もう「脱プラスチックしか残されていない」状態です。

「新プラスチック生活」宣言

これから2030年までが「地球の運命を決める10年」と言われています。それを決めるのは私たちであり、一人ひとりがこれまでの考え/行動/生活様式を見直さなければならない。しかし私はかつてのスーパーヒーローに対し、手のひら返しで厄介者扱いしたり、一方的に否定はしたくありません。過去100年間でプラスチックが果たした貢献に敬意を払い、新たな付き合い方を模索していきます。所有するプラスチックに責任を持ち、その生涯を全うするまで見届けていきます。「脱プラスチック」ではなく、これが私の「新プラスチック生活」宣言です。

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